week 89

毎週火曜日に、前の週の活動をお伝えしています。

★☆★ 出来事 ★☆★
浦項工科大学校(POSTECH)のキャンパスにある国立研究所IBS-CGPで講演をさせてもらう。浦項(ポハン)は鉄鋼会社の浦項製鉄所(POSCO)がある工業都市で、夜には大学のキャンパスからも煌びやかな工場の照明を眺めることが出来る。市バスで工場の傍を通ると、巨大な看板に標語が掲げられたゲートがあり、遠く広がる敷地の煙突からは絶えず煙が伸びていた。何というか、これぞ資本主義という感じで、好奇心をそそられずにはいられなかった。

一週間の滞在で、セミナーや議論もしたけれど、週末には九龍浦(グリョンポ)、金海(キメ)、慶州(キョンジュ)などいくつかの観光地にも連れて行ってもらい、おいしい物もたくさん食べ、実にぜいたくな出張であった。

九龍浦は、戦前、瀬戸内海の漁師たちが漁場を求めて移住したことで栄えた港町らしく、今もわずかだが日本人家屋が残っており、観光資源の一つになっていた。日本の神社でよく見かけるような石段があり、実際かつては石段の先に神社があったらしいのだが、今は狛犬などが残るばかりで、朝鮮戦争の忠魂地となっていたのが、何とも印象深かった。

写真は、城崎の玄武洞などでも有名な柱状節理で、九龍浦の海岸にたくさん見られる。真冬の潮風は凍えたけれど、波が高くて美しい海だった。先入観かもしれないが、日本海のもの寂しい感じは韓国側に来てもあまり変わらないんだな、と何となく感じられた。
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金海には、古代、鉄器で栄えた伽耶(カヤ)の国があり、倭(日本)とも活発に交易をしていたらしい。いくつかの博物館や、貝塚・高床式倉庫などの再現された遺跡を巡ったが、とくに、大成洞古墳博物館は規模は小さいものの、ほとんどの展示に日本語が併記されていてじっくり読めたし、内容的にも面白く、なかなか見応えがあった。古代は教科書では退屈な感じもするけれど、実際遺跡を訪れると悠久の時を感じられて心が動かされるな。


★☆★ 食事 ★☆★
セミナーディナーで、浦項の郷土料理「ムルフェ(水刺身)」のおいしいお店『海中ムルフェ』に連れて行ってもらう。刺身や野菜、そうめんなどにシャーベット状のユクス(だしスープ)を加えてかき混ぜて食べるさっぱりした料理。これが適度な辛さで、えもいわれぬおいしさだった。
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浦項のもうひとつの特産品が、クァメギ(さんまの生干し)である。地元の市場では、あちこちの店の軒先に青魚が吊るされている。ある程度日が経ったものはくたびれて、さながらホラーのよう。しかしこれを辛みダレにつけて、韓国のりやサンチュなどの野菜に包んで食べると、もちもちしていて絶品なのだ。今回は九龍浦市場の『モポフィ蟹』で、生簀のズワイガニを捌いてもらっている間にクァメギも頂いた。油が乗った旬のズワイガニも堪能できて控えめに言っても最高だった。
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金海の遺跡を巡ったあと、食事処を探して立ち入った外国人街。中東系の外国人労働者が、韓国のこんな辺鄙な土地(失礼)に集まって自分たちの街を作っていることに驚いた。異文化が香るこの街で、ハラールのウズベキスタン料理店『VODIY』を選び出す友人のセンスには脱帽である。緑茶も、カバブも、シュルパ(特製シチュー)もとてもおいしかったし、何より心に残る食事であった。
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