重力波の観測と宇宙開発

【今週の目次】
1. STEMウォッチ 2. 近況報告

※追記(2016.6.23):公開後、コンテンツ毎に記事を分けました。

1. STEMウォッチ
私が注目する「科学、技術、工学、数学」の情報を、隔週で紹介するコーナーです。

第1回 「重力波の観測と宇宙開発」

今年の2月、重力波が初めて直接観測されてニュースになった。検出器が捉えた天体現象は連星ブラックホールの合体である。公転する2つのブラックホールが光速の約半分という凄まじい速さで衝突して、時空を波立たせる。そんなことが、この空の彼方で「実際に起きている」という事実は、想像すればするほど驚異である。

この重力波の観測範囲を将来大きく広げると期待されているのが、レーザー干渉計宇宙アンテナ(LISA)だ。LISA計画とは、広大なスペースを必要とする低周波の重力波検出器を宇宙空間に設置してしまおうという壮大なプロジェクトである。実現すれば、銀河衝突などの大規模な現象や、より遠くの現象も見られるようになる。

【LISAの想像図】
LISA-waves

昨年末、LISAの技術を実証する目的で、小型試験機「LISAパスファインダー」が打ち上げられた。現在、地球から遥かに離れた宇宙空間で技術試験を行っており、期待以上の精度を見せているとの報告もある。

近年、このような衛星打ち上げを含む世界の宇宙産業の市場規模は年々拡大し、経済成長率を上回っている。特に、民間企業による宇宙ビジネスへの参入・拡大の動きは活発になっていて、ベンチャー企業の成功が頻繁に伝えられるようになった。私たちは「宇宙大航海時代」の兆しを見ているのかもしれない。

さて、このタイミングの良い宇宙産業の成長は、LISA計画にもかなり良い影響がありそうだ。何より打ち上げコストが大幅に下がるという期待がある。将来、LISAや、より低周波の重力波検出器が打ち上げられ、重力波で宇宙の果てを見る日が来るのが待ち遠しくてならない。

【参考サイト】
最初の重力波観測についてはLIGO公式の日本語版まとめ(pdf)が、詳しくて面白い。先週発表された2回目の観測についても英語版フライヤー(pdf)が出ている。また、友人が、物理・宇宙・天文に関する質問に無償で答えるという素晴らしいサービス(重力波天文学徒さんのask.fm)をやっているので是非紹介しておきたい。

LISAパスファインダーの最新情報は公式サイト(英語)にある。宇宙産業の市場規模については米国宇宙財団の2015年の報告書(有料)のデータが各所で引用されていたためそれを参考にした。

宇宙ベンチャーのBlue OriginSpace X は公式サイトに動画があってワクワク感がすごい。日本では、インターステラテクノロジズが高度100kmの宇宙観測ロケット「モモ」の今夏打ち上げを目指していて、campfireで支援を募っている。

 

【今週の目次】
1. STEMウォッチ 2. 近況報告

投稿者: miurror

韓国高等科学院 (KIAS) 研究員 / 数理科学絡みで色々な研究をしています。最近は人工知能やバーチャルリアリティなどの情報技術を、数学的現象を観測する手段として用いることに関心があります。